航空券は生き物。ダイナミックプライシングに「翻弄されない」ための知識

ダイナミックプライシング 航空券 価格変動 アルゴリズム 解説

「昨日の夜見た時は2万円だったのに、今朝見たら2万5千円になっている……」。航空券を探していると、数時間の差で価格が劇的に変わる現象に遭遇します。これがダイナミックプライシング(変動料金制)です。LCCはこの仕組みを最も過激に導入しており、定価という概念が事実上存在しません。では、その価格は一体誰が、どんな基準で決めているのか。そして、次に価格が「下がる」ことはあるのか?航空会社の価格決定アルゴリズムを分析するプロが、その裏側を徹底解説します。

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1. 価格を操るAIの正体

LCCの価格は、人間がいちいち書き換えているわけではありません。高度なレベニューマネジメントシステム(RMS)が、過去数年間のデータ、イベント情報、さらにはライバル社のリアルタイムな価格を分析し、一日に何度も自動更新しています。例えば、近くで大規模なコンサートが発表されれば、瞬時にその日程の価格は跳ね上がります。

2. 安い席は「ロット」で管理されている

【バケットの概念】
飛行機の全座席は、いくつかの「価格バケット(バケツ)」に分けられています。例えば、
・9,800円のバケツ:10席
・15,000円のバケツ:20席
・25,000円のバケツ:残りすべて
といった形です。9,800円の席が10枚売れた瞬間に、11番目の人は自動的に15,000円の価格を提示されることになります。「最後の1席が売れた瞬間」、価格は非連続に上昇します。

3. 検索履歴とクッキーの真実

「同じ検索を繰り返すと価格が上がる」という噂は、半分正解で半分間違いです。航空会社が特定のユーザーを狙い撃ちして価格を上げている証拠は見つかっていません。しかし、あなたが検索しているその瞬間に「他の数百人も同じ席を見ている」可能性があり、その「需要の集中」を検知したAIが価格を引き上げることは十分にあり得ます。迷っている間に価格が上がるのは、あなたが「需要の一因」になっているからなのです。

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著者:航空データアナリスト 悟

航空業界のレベニューマネジメントを専門とするアナリスト。LCCの価格設定アルゴリズムを逆解析し、最も確率の高い「価格下落タイミング」を予測するのが得意。「航空券は株と同じ」が持論で、常にスマホで世界の航空券チャートをチェックしている。