1. 気づくのは空港到着後:ジッパーが開けられた形跡
チェックアウトは午前10時。でも帰りのLCCフライトは深夜23時発。
「ホテルにキャリーケースを預けて、身軽になって最後の観光を楽しもう」──これは誰もが考える旅行の定番行動です。
フロントでタグをもらい、荷物室(バゲージルーム)にトランクをごろごろと押し込んで街へ。
夕方、ホテルに戻って荷物を受け取り、急いで空港へ向かいます。チェックインカウンターで荷解きをして予備の服を出そうとした瞬間、血の気が引きます。鍵をかけていたはずのスーツケースのジッパーの位置が微妙にズレており、中に入れておいたはずの「一眼レフカメラ」「現地通貨の残り」「ノートPC」が消え去っていました。
もう飛行機の時間は迫っており、ホテルに戻って警察を呼ぶ時間もありません。泣き寝入り確定の瞬間です。
2. ホテルの「バゲージルーム」が泥棒の天国である理由
海外の多くの格安ホテルにとって、チェックアウト・イン前後の荷物預かりは単なる「無料のボランティアサービス」に過ぎません。
① 誰でも出入りできる無法地帯
フロント横にある小部屋に「適当にそこに置いておいて」と言われるパターンが最多です。ドアの鍵は開けっ放し、防犯カメラもなく、別の客が「自分の荷物を取りに行く」と言って入室し、ついでに他人の荷物からパクリ放題という惨状です。
② 引換券(タグ)のザル管理
番号札を渡されても、受け取る際に番号をろくに確認せず、勝手に持っていかせホテルも多いです。高級そうに見えるスーツケースごと、第三者に堂々と持ち去られるリスクがあります。
"テルミニ駅近くの3つ星ホテルで、チェックアウト後にソフトタイプのキャリーを預けました。午後遅くに戻ると、キャリーの横のサイドポケットに入れっぱなしにしていたモバイルバッテリーとサングラスが消えていました。フロントに抗議しましたが、『貴重品を預けるなと壁に書いてある(イタリア語で)』と鼻で笑われ、相手にされませんでした。"
3. TSAロックは無力。ボールペン1本でこじ開けられる現実
「南京錠やダイヤルロックをかけているから開けられないだろう」というのは大きな誤解です。
特にファスナー(ジッパー)タイプのスーツケースは、南京錠の有無に関わらず、ボールペンを1本ファスナーの隙間に力強く突き刺すだけで、一瞬で真っ二つに開くことができます。
中の金目をサッと抜き取った後、ロックされたスライダー(取っ手)を引き裂いた端から端までツーッと滑らせれば、なんとファスナーは元通りに閉まってしまいます。つまり、パッと見では「開けられた痕跡」すら残さないのです。これに空港で気づいても遅すぎます。
4. 「免責事項」の盾。ホテルの従業員がグルだった場合
最悪なのは、ホテルのベルボーイや清掃スタッフ自体がグル(または犯人)であるケースです。彼らは防犯カメラの死角を知り尽くしており、手慣れた手つきで荷物を漁ります。
警察を呼んでも、ホテルの壁には必ず「The hotel is not responsible for loss, damage, or theft of items left in the luggage room.(荷物室での紛失・盗難についてホテルは一切の責任を負いません)」という無敵のサインボードが掲げられています。
海外において「預かり物」はあくまで自己責任。無料サービスに文句は言えません。
被害に遭わないための絶対防衛術です。
① 駅や空港の有料ロッカー/預かり所を使う:ホテルよりも、街中の中央駅(セントラルステーション)にある「有人手荷物預かり所(Left Luggage)」や、頑丈な有料コインロッカーにお金を払って預ける方が100倍安全です。
② 貴重品は絶対に分離する:機内持ち込みサイズのバッグに「PC、カメラ、予備の現金、パスポート」をすべて入れ、それだけは街歩き中も常に背負っておく。ホテルに預けるスーツケースの中身は「盗まれても諦めがつく汚れた下着と古着だけ」という状態にしておくのが、旅のプロの鉄則です。