1. チェックアウトの悪夢:「預けた2万円が返ってこない」
東南アジア(特にタイ、フィリピン、ベトナム)の格安ホテルやAirbnbなどの民泊において、チェックイン時に「デポジット(保証金)」として1,000〜3,000バーツ(約4,000〜12,000円)程度の預け入れを要求されるのは珍しくありません。
本来デポジットとは、宿泊者が部屋の備品を壊したり、ミニバーの飲み物を勝手に飲んで逃げるのを防ぐための預り金であり、何も問題がなければチェックアウト時に全額返金(またはカードの仮押さえ解除)されるものです。
しかし、一部の悪質な安宿や経営の苦しいホテルでは、「最初からこのデポジットを難癖をつけて没収し、利益にしよう」と企んでいるケースがあります。「預けた1万円が二度と戻ってこない」。これがLCCトラベラーを狙う卑劣なデポジット没収詐欺の手口です。
"中級リゾートでチェックイン時に現金でデポジット5000バーツ(約2万円)を預けました。帰りのフライトギリギリにチェックアウトすると、スタッフが『ベッドシーツに取れないシミ(血痕)がある』と言い出し、シーツの全交換代としてデポジットを全額没収すると宣ったのです。入室時に気付いて撮っていた写真を見せても『日付が証明できないから無効だ』と鼻で笑われました。フライトの時間が迫っており、警察を呼んで争う時間もなく、泣く泣く2万円を諦めて空港へ向かいました。"
2. 悪質ホテルが使う「難癖・言いがかり」の定番パターン
彼らがデポジットを没収する際の手口(難癖)のパターンは、大体決まっています。事前に知っておけば、防衛することが可能です。
① リネン類(シーツ、タオル)の汚れ
最も多い手口です。女性のメイク汚れや、ヘアカラーの色落ち、わずかな血痕などを理由に「特殊クリーニング代・買い替え代」を請求してきます。ひどい場合は、最初から汚れていたタオルを置かれていることもあります。
② 禁煙ルームでの喫煙疑惑
「部屋からタバコの匂いがする」「バルコニーでアイコスを吸っただろう」と言いがかりをつけられ、強力脱臭代としてペナルティを課されます。
③ 備品の紛失や破損
「元々置いてあったはずのヘアドライヤーがない」「コップにヒビが入っている」「テレビのリモコンが壊れている」などと主張してきます。
3. 入室後5分が勝負!完全防衛のための「動画撮影ルーティン」
この詐欺から身を守る唯一の方法は、「入室直後の証拠保全」です。
部屋の鍵を開けて中に入ったら、スーツケースを置くよりも先に、スマホの動画撮影モード(タイムスタンプ表示ありを推奨)を起動してください。そして、以下の箇所をくまなく動画に収めながら部屋を一周します。
・ベッドシーツやカバーにシミ・汚れ・破れがないか(掛け布団をめくって撮影)
・バスタオルへの汚れや、枚数の確認
・壁紙の剥がれ、家具の傷、カーペットのシミ
・テレビ、エアコンが正常に作動し、リモコンが揃っているか
・ミニバー(冷蔵庫)の中身がリスト通りに揃っているか
もしこの時点で明らかな汚れや破損(特にシーツの汚れ)を発見した場合、絶対に放置せず、すぐにフロントに電話して交換させるか、スタッフを呼んで「これは最初からだ」と書面(メールでも可)で認めさせてください。
4. クレジットカード vs 現金:デポジットの正しい預け方
デポジットを預ける際、「クレジットカードの提示(Pre-Authorization/仮押さえ)」か「現金」を選ぶことになります。
【安全なのは「現地通貨の現金」】
意外かもしれませんが、自衛するためにはデポジットは「現地の現金」で渡し、必ず「預かり証(Receipt)」をもらうのが正解です。
チェックアウト時にスタッフに部屋を確認させ「No problem」と言わせた瞬間に、預かり証と引き換えに現金をズバッと返してもらえば、そこで取引は完全に終了します。
【カード仮押さえの危険性】
クレジットカード番号を教えたりスキャンさせたりすると、帰国後に「後から部屋でタバコの匂いが見つかった」「帰った後にバスタオルがないことに気づいた」という理由で、数週間後に勝手にクレカから引き落とされる(チャージされる)リスクがあります。カード会社からは「ホテル側からの正当な請求」とみなされ、取り返せないケースが多発しています。
いざチェックアウト時に難癖をつけられたら、毅然とした態度で反撃します。「フライトが迫っている」と焦る姿を見せるとカモにされるので、堂々と動画を見せつけてください。
"I have a time-stamped video showing the room was exactly like this when I checked in. Return my deposit in full right now, or I will call the tourist police."
(入室時に部屋がこの状態だったことを証明するタイムスタンプ付きの動画があります。今すぐデポジットを全額返すか、さもなくば観光警察を呼びます。)
東南アジアのホテルは、トラブルメーカーとしてTourist Police(観光警察)が介入するのを極端に嫌がります。「警察(Police)」という単語を出すだけで、スッと引き下がるケースがほとんどです。